36.終止符

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 結葉(ゆいは)も生計をともにするのだから、と貯めていた貯金を差し出したけれど、きっとそんなの偉央(いお)が出した金額に比べたら雀の涙ほどにしかならなかったはずだ。 「でも……私、元々お金なんて殆ど出してないです。だから――」  もらうのはおかしいと眉根を寄せた結葉(ゆいは)に、偉央(いお)は「結婚するときに生計をともにするんだから、と貯金をひとつにまとめてしまったのは誰?」と、ここに関しては譲る気はないと意見を押し通して。  慰謝料に関しては偉央(いお)が折れる形になったけれど、結局結葉(ゆいは)は離婚にあたってかなりまとまったお金を偉央(いお)から受け取ることになった。  「離婚届は、結葉(ゆいは)が出して?」と偉央(いお)は言ったけれど、結葉(ゆいは)は「提出するところを偉央(いお)さんにも見届けていただきたいです」と言って譲らなくて。  結局偉央(いお)は自分で車を出して、結葉(ゆいは)(そう)が乗せて行く形で連れ立って役所まで行く形になった。  結葉(ゆいは)が離婚届を提出するのを、少し離れたところで偉央(いお)(そう)が見守って、ある意味とても呆気なく二人の離婚は成立したのだった。
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