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結葉も生計をともにするのだから、と貯めていた貯金を差し出したけれど、きっとそんなの偉央が出した金額に比べたら雀の涙ほどにしかならなかったはずだ。
「でも……私、元々お金なんて殆ど出してないです。だから――」
もらうのはおかしいと眉根を寄せた結葉に、偉央は「結婚するときに生計をともにするんだから、と貯金をひとつにまとめてしまったのは誰?」と、ここに関しては譲る気はないと意見を押し通して。
慰謝料に関しては偉央が折れる形になったけれど、結局結葉は離婚にあたってかなりまとまったお金を偉央から受け取ることになった。
「離婚届は、結葉が出して?」と偉央は言ったけれど、結葉は「提出するところを偉央さんにも見届けていただきたいです」と言って譲らなくて。
結局偉央は自分で車を出して、結葉は想が乗せて行く形で連れ立って役所まで行く形になった。
結葉が離婚届を提出するのを、少し離れたところで偉央と想が見守って、ある意味とても呆気なく二人の離婚は成立したのだった。
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