738人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺の方こそ頭ごなしに否定しちまってすまん。多分……お前にはお前なりの考えがあってのことだったんだよな? ――ちゃんと聞くから。お前の思い、俺に聞かせてくれるか?」
想の言葉に、結葉がギュッと手指を握り締めたのが分かった。
「偉央さんが……。ご両親から私と連絡が取れないのはどう言うことか?って問い詰められたら面倒かなって思ったの。向こうのお母さん、昼間に時々家の方に電話くださってたから」
結葉は家を出てしまっていたから、それには出られない。きっとそれが続けばキッズ携帯に電話が掛かってくるはずで。
「あの携帯がどうなったのかは分からないけれど……。もし解約されていなかったとしても、私が出られないことに変わりはなかったから。家の電話にも携帯にも出られないとなったら……きっと色々変に思われるかなって思ったの」
偉央が下手に問い詰められて、離婚の危機にあるとあちらの両親にバレてしまったら。
もしかしたら偉央とゆっくり話し合う機会に恵まれなくなってしまうかも知れない、と考えてしまったのだと結葉は言った。
最初のコメントを投稿しよう!