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「だったら尚のことそういう経緯全部ひっくるめてあっちの親に言ってやれば良かったじゃねぇか」
「……でも……想ちゃん。私、何だかんだ言っても……結局のところ偉央さんとの子供、欲しくないって思っちゃったんだよ? 孫を残せない嫁だって非難されても仕方ないかなって……思っちゃった」
結葉はそんな風に自分を責めるけれど、想としてはどうしても納得がいかない。
真実を知らないくせに結葉を悪者にして泣かせるなんてふざけんな!と思う。
でも――。
「こちらの理由はどうあれ……私はお義父さんとお義母さんに孫を見せてあげられなかった。それは紛れもない事実だから」
結葉は甘んじてその非難を受け入れると言うのだ。
「ねぇ想ちゃん。私も……いつかうちのお母さんや純子さんみたいな幸せなママになれるかな……」
想の腕の中、小さく縮こまって、結葉がポロポロと涙をこぼすから。
想は居た堪れない気持ちになって彼女をギュッと抱きしめた。
もう相手の親に言い返したとか言い返さないとか、そんなことどうでもいいと思って。
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