36.終止符

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 今はただただ、この腕の中で所在なく震える結葉(ゆいは)のことを、誰よりも幸せにしてやりたい、と願うのみだった。 「結葉(ゆいは)なら絶対幸せになれるから。俺が保証してやる! だからもう泣くな。――な?」  ――俺が幸せにしてやる、という言葉は、結葉(ゆいは)が望んでくれないと言えないから。  (そう)は喉元まで出掛かったその言葉を、寸でのところでグッと飲み込んだ。 ***  結葉(ゆいは)は自分も悪いのだから仕方がないと言うような諦めに似たことを言っていたけれど、結局偉央(いお)との離婚が成立してから――と言うより元義父母から子供を成せないとレッテルを貼られてから数日。  表面上は元気にしているけれど、一人にしておくと明らかに塞ぎ込んでいる様子なのが分かるから、(そう)はとても気になっている。  (そう)の告白への返事は、全てのことが片付いたら……と話してくれた結葉(ゆいは)だったけれど、その日はいつ来るだろう、とふと自分本位なことまで思ってしまって自己嫌悪の(そう)だ。 *** 「結葉(ゆいは)。今度の休みさ、一緒に映画でも観に行かねぇ?」
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