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わざとおどけるように言ってみせたのは、結葉が「もう、想ちゃんってば何バカなことを言ってるの?」と一蹴できる余地を残してやりたかったから。
それに、もしそうならなかったとしても、いま想が言ったことを真に受けて自分のことを考え始めてくれたなら儲けものじゃねぇかとも思った想だ。
「……想ひゃ……」
頬をむぎゅっと押し潰されたままだから、マトモに想の名前が呼べない結葉だったけれど、それがまた想には堪らなく可愛く思えてしまって困る。
想は、自分も大概重症だな、と思ってしまった。
結葉に、どこまでも深く深く、黒く潤んだ瞳でじっと見つめられて、想は〝今日はまだ告白への返事はもらえなくてもいいかな〟と思って。
何故ならもう少しだけ……想自身、〝もしかしたら結葉から色良い返事がもらえるかもしれない〟という夢を見続けていたかったから。
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