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モールに着いてすぐ、想は結葉を連れて携帯ショップに行った。
「お前の携番変える手続き、今日のうちに済ましちまおうと思ってんだけど……いいか?」
前にこの話を出したら、結葉に悲しそうな顔をされたのを覚えている想だ。
「――うん。それで大丈夫だよ。私のせいで色々手間をかけさせちゃってごめんね」
だけど今日の結葉は、想が一度打診していて心の準備ができていたからだろうか。
前みたいに戸惑いに揺れる視線を向けられなくて、想は密かにホッと胸を撫で下ろしたのだ。
「ほら、謝んのは無しっちゅったろ?」
「う……。え、えっと……。私のために色々気遣ってくれて有難う?」
語尾が疑問形になったのは、結葉的には、別に絶対変えないといけないとは思っていないのかもしれない。
でも、想としては元旦那の親に今の番号を知られている以上、どうしてもこのままにはしておけないと思ってしまったんだから仕方がないではないか。
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