37.それぞれの再出発

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 大抵は結葉(ゆいは)の家のテレビより大きいから、という理由で(そう)の家に行くことが多かったけれど、(そう)(せり)結葉(ゆいは)は余り好きではない怪獣モノも好きみたいで、割と夢中になって観ていたのを覚えている。 「ちょっと待って? 一緒に観てくれてたのってお義理だったってこと?」 「かなぁ~?」  クスクス笑ったら「ひっでぇ~」と(そう)結葉(ゆいは)を小突いて。 「あっ。けど……今日映画が始まる前に予告で流れてた、倒した後の怪獣の死体をどう処理するか?みたいな映画は面白そう!って思ったよ?」  (そう)が観ていた怪獣モノでも、街をパニックに(おとしい)れた怪獣が、人々の努力で撃退されたり倒されたりするシーンが結構あったけど、倒した後の怪獣の亡骸(なきがら)をどうするか?にスポットを当てたものはほとんどなかった気がする。  何かの映画で、遺体の一部をオークションにかけて金持ちに売り捌く闇の組織みたいなものが描かれていたのを観たことがあるけれど、結葉(ゆいは)が知っているのはそれぐらいだ。
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