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「『モンスターのあとしまつ』だっけか。まぁ確かに面白そうではあったけど、俺はどっちかってぇと元気に動き回ってる怪獣見んのが好きなんだよなぁ~」
言いながらも、想は「けどあれはあれで観れたらって思うし、上映され始めたらまた一緒に来ような?」と打診してくれて。
結葉は「うん」と頷いた。
そうしながら、〝私、想ちゃんからの気持ちにちゃんと答え出せてないのにいいの?〟と思ってしまった結葉だ。
ソワソワと横を歩く想の顔を見上げたら「ん~? どした?」と気付かれてしまってドギマギする。
「な、何でもないっ」
結葉だって想のことは大好きだ。
今だって、目が合っただけで心臓がトクンッと大きく跳ね上がって、それを強く実感させられてしまった。
そもそも幼い頃からずっと片想い――ではなかったみたいだけれど――をしていた相手だ。
好きだって言われて、嬉しくないわけがないし、舞い上がらないわけがないではないか。
でも。
(私だけ幸せになってもいいの?)
そんなことを思ってしまって、心に歯止めがかかる。
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