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離婚の話し合いを始めてからの偉央は、穏やかに現実を受け入れてくれているように見えたけれど、それは想が常に同席していたからかも?とも思ってしまって、結葉はどうにも踏ん切りがつけられない。
偉央は基本的にとてもプライドの高い男性だったから。
もしかしたら想が同じ空間にいることで気を張っていた可能性だってあるなって思って。
別れた相手への後ろめたさから、新たな一歩が踏み出せないと言ったら、きっと想には溜め息をつかれてしまうだろう。
そうして、ひょっとしたら偉央にだって、「前に進む勇気が持てない理由を僕に転嫁しないで?」と怒られてしまうかもしれない。
だけど結葉は頭の片隅でそれを考えてしまわずには居られないのだ。
想が、「結葉は気持ちを切り替えるのが下手だ」と言ったのは、結局自分のそう言うところを指しているんだろうなと思った結葉だった。
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