37.それぞれの再出発

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「えっ、な、んでそんなこと……」 「違うのか?」  もしそうじゃなければ、結葉(ゆいは)がこんなに長いこと返事が出来ない理由は〝断りづらいから〟になってしまう。  (そう)としてはそんな風には思いたくないのだ。 「違っ、……わ、ない」  明らかに一瞬「違う」と言おうとして。  だけど(そう)の真剣な目を見た途端、良くも悪くも馬鹿がつくぐらい真面目で正直な結葉(ゆいは)は、嘘がつけなくなってしまったらしい。 「――ごめんなさい、(そう)ちゃん。私、本当に煮え切らないね」  言いながら、結葉(ゆいは)がとても申し訳なさそうにしゅんとして謝るから、(そう)としてはその先に踏み込みづらくなってしまった。 「……なぁ結葉(ゆいは)。何がお前の気持ちに歯止めを掛けてんのか、俺に話してくんねぇか?」  結葉(ゆいは)に気付かれないよう小さく吐息を落とすと、 「俺にはそれを聞く権利があると思うんだ」  (そう)は、結葉(ゆいは)をじっと見つめた。 *** 「――場所、移してからでもいい?」  (そう)の真剣な眼差しに、結葉(ゆいは)はとうとう観念したのだけれど。
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