37.それぞれの再出発

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「じゃ、行くぞ」  言うなり、自分の手を取って歩き出す(そう)に、結葉(ゆいは)は「あのっ、行くってどこへ?」と問わずにはいられなくて。 「さっき言っただろ? ドライブだよ、ドライブ」  玄関先に掛けてあった車のキーを手に取ってニヤリと悪戯っ子のような笑みを向ける(そう)に、結葉(ゆいは)は(その目的地を知りたいのに)と心の中で抗議する。  声に出さなかったのは、きっと(そう)が、結葉(ゆいは)の言いたいことなんてお見通しのくせに、わざとはぐらかすような言い方をしていると分かっていたからだ。 ***  夜のドライブに(そう)が選んだのは、当然会社の軽トラではなく、(そう)の愛車――黒のヴォクシーだった。  基本的に仕事以外で出かけるとき、(そう)はこの車に結葉(ゆいは)を乗せてくれるのだけれど、(そう)が乗っているヴォクシーは七人乗り仕様らしい。  (そう)一人や、結葉(ゆいは)と二人だけだととても勿体無く思えてしまう。
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