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「何か広すぎて落ち着かないね」
今更のようにソワソワしながら結葉が後部シートを眺めたら、「家族全員乗せるのにはいいんだけどな」と想が言って。
「けどこの車おっきいから、想ちゃんと芹ちゃん、公宣さん、純子さん。全員で乗っても余裕だね」
結葉が三列目まであるシートを数えるようにして指を折ったら、
「俺はその中にお前も居たらいいとずっと思ってる」
と静かな声音で返された。
「わ、たしも……?」
ずっと好きだと言われ続けてきたのだから今更なのに、何だかそういう具体的な例を挙げられると、やたら照れてしまった結葉だ。
それを誤魔化すみたいに「それでもまだ二席余っちゃうねぇ〜?」って努めて明るく笑ったら、「子供が出来たら足りなくなるんじゃね?」と言われて。
「こ、ども……っ?」
まだ想の告白を受けるとも何とも答えられていないのに、想がその先の未来を語るから、結葉はどうしたらいいのか分からなくなった。
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