37.それぞれの再出発

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 そわつく気持ちを落ち着けたくて、窓外を流れる夜景を見つめながらオロオロと視線を彷徨(さまよ)わせたら、背後から更に、(そう)の低められた声が被さってくる。 「なぁ結葉(ゆいは)。ひとつだけ先に聞かせてくれ」  街灯などの前を通過するたび、外の明かりのせいで窓ガラスが鏡面になる。  そのたび、そっぽを向いていても(そう)の顔が見えてしまうことに結葉(ゆいは)はドギマギして。 「……なぁに?」  それを気取られないよう一生懸命心を落ち着けて短く答えたつもりだったけれど、声が震えてしまった気がした結葉(ゆいは)だ。 「全部色んなことを取り払った上で純粋に答えてくれな?」 「……? ……うん」 「結葉(ゆいは)は……俺のこと、どう思ってる?」  さすがに結葉(ゆいは)も、こんなに直球で聞かれるとは思っていなかったから。 「あ、あの……っ」  驚いて思わず(そう)の方を振り返ったら、(そう)は至極真剣な顔で前方を見つめていた。  運転中なのだから当たり前だと思う反面、いつもの(そう)ならちらちらとこちらを気にしてくれるはずなのに、と思って、結葉(ゆいは)は逆に落ち着かない気持ちにさせられる。
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