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(何にも言わなくても、やっぱり想ちゃんは私の考えていることなんて全部全部お見通しなんだ)
でも、だったら何故こんなところに?とも思ってしまった。
結葉の疑問に答えるように、
「俺が見せたいのはあっち」
言って想が指差したのは、道路を挟んで反対側の、『みしょう動物病院』の方だった。
そっちこそ尚のこともう縁なんてないはずなのに何で?と思ってから、結葉は駐車場の一角に見慣れない影の一群が出来上がっていることに気がついた。
「あれって」
「マンション売ったからじゃねぇか? 家を建ててるみたいだ」
想は、「俺も今日たまたまこの道通って気付いたんだけどな」と付け加えてから、結葉をじっと見つめてくる。
「想……ちゃん?」
想が何を言いたいのかよく分からなくて、結葉がオロオロと想を見返したら、想が吐息を落とす。
「今は暗くてよく見えねぇけど、おそらくは3LDK。三人家族想定の家だと思う」
想の言葉に、結葉は「さん、にん?」とつぶやいて。
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