37.それぞれの再出発

21/26
前へ
/848ページ
次へ
(なん)にも言わなくても、やっぱり(そう)ちゃんはなんだ)  でも、だったら何故こんなところに?とも思ってしまった。  結葉(ゆいは)の疑問に答えるように、 「俺が見せたいのはあっち」  言って(そう)が指差したのは、道路を挟んで反対側の、『みしょう動物病院』の方だった。  そっちこそ尚のこともう縁なんてないはずなのに何で?と思ってから、結葉(ゆいは)は駐車場の一角に見慣れない影の一群が出来上がっていることに気がついた。 「あれって」 「マンション売ったからじゃねぇか? 家を建ててるみたいだ」  (そう)は、「俺も今日たまたまこの道通って気付いたんだけどな」と付け加えてから、結葉(ゆいは)をじっと見つめてくる。 「(そう)……ちゃん?」  (そう)が何を言いたいのかよく分からなくて、結葉(ゆいは)がオロオロと(そう)を見返したら、(そう)が吐息を落とす。 「今は暗くてよく見えねぇけど、おそらくは3LDK。の家だと思う」  (そう)の言葉に、結葉(ゆいは)は「さん、にん?」とつぶやいて。
/848ページ

最初のコメントを投稿しよう!

735人が本棚に入れています
本棚に追加