735人が本棚に入れています
本棚に追加
民法七七二条二項では、子どもの父親を法的に推定するために、「離婚後三百日以内に生まれた子は前夫の子」、「結婚後二百日を過ぎて生まれた子は現夫の子」と定めているらしい。
自分に置き換えて考えてみたら、もしもそういう行為でお腹に命が宿ったとして、その子を元旦那の子供として届出なくてはならないというのは、とても酷だなと思って。
偉央と別居してからは、偉央とのそういう行為自体を望まなくなっていた結葉だけれど、法的に見れば、そんな夫婦であっても〝妊娠の可能性はある〟と思われているんだという、当事者の心との認識のズレに溜め息がこぼれた。
そのような問題で無戸籍児になってしまっている子供たちもたくさんいるのだと知った結葉は、離婚というものの重みをひしひしと感じたのだけれど。
結葉との婚姻生活中は、あんなにも頑なに子を成すことを拒んでいた偉央が、もしも別の女性と再婚した途端、子供ができることを想定して家を建てているんだとしたら……。
「私の三年間って何だったんだろう……」
結葉がどんなに望んでも、偉央は子供を作るためにそういう行為をしたことは一度もなかったのに。
最初のコメントを投稿しよう!