38.二人暮らし

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 かといって自分のそばに置いて動物病院の手伝いをさせることも無理だと思ったから。  偉央(いお)結葉(ゆいは)との三年間の婚姻生活の中、彼女を働かせず、専業主婦という形で家に縛りつけたのだ。  今となってはそれも結葉(ゆいは)にとっては苦痛でしかなかったのかなと思って。  一体どう扱うのが正解だったのか、結葉(ゆいは)と離婚した後になっても偉央(いお)にはさっぱり分からなかった。  結葉(ゆいは)以外の女性ならば、偉央(いお)はここまで執着せずにいられたのだろうか。  歴代の彼女たちのことを思い浮かべてみても、結葉(ゆいは)ほど自分の手の中に囲って外に出したくないと思った女性はいなかったから、きっとそうなのだろう。 ***  今日は手術が数件重なってくれていてよかったなと思った偉央(いお)だ。  偉央(いお)は第一診察室に引きこもると、椅子に腰掛けてグッと両の拳を握りしめた。  ふと手元に視線を落とすと、未練がましく外し損ねたままになっていた結婚指輪が目に入って、偉央(いお)は小さく吐息を落とす。
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