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一番多かったのはピアスだったが、それにしたって五セットもなくて――。
偉央は、結葉には金銭的には何不自由ない暮らしをさせていたつもりだ。
だが蓋を開けてみれば、自分は彼女にこんなにも質素な暮らしを強いていたのだろうかと吐息が漏れた。
マンションを引き払う前に自分で荷物の整理に来るか?と問いかけた時、結葉が「大丈夫です。そちらで処分して頂くか、廃棄するのに困るようでしたら山波建設宛に送って頂けたら」とアッサリと言ったのを思い出す。
あれは、捨ててしまっても惜しくない量しか物を持っていなかったからだったんだろうなと、小ぢんまりまとまってしまった結葉の持ち物を見て、偉央は小さく吐息を落とした。
***
結葉の荷物を山波建設宛に送り出して、自分の荷物は使うものだけ手元に残した偉央は、大半の荷物を病院近くに適当に借りた賃貸マンションに押し込んだのだけれど。
どうしても片付けが後手後手に回ってしまった結果、部屋の中は段ボールが山積みのまま。
未だそこで生活を始めるには至っていない。
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