38.二人暮らし

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 いつまでも病院に寝泊まりしているわけにはいかないと言うのは、偉央(いお)にだって分かっているつもりだ。 ***  たまにはマンションに戻って荷物の整理でもしようと、『みしょう動物病院』のセキュリティを超絶久々にオンにして外に出た偉央(いお)だったけれど。  駐車場に停めた車に近付いた所で、待ち構えていたのだろうか。 「」  物陰から現れた加屋(かや)美春(みはる)に、呼び止められて。  仕事中のように「御庄(みしょう)先生」と呼ばれなかったことが、美春の中の〝女〟を感じさせて、偉央(いお)は小さく吐息を落とした。
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