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「親父、お袋、芹。もう気付いてるかも知んねぇけど……俺と結葉、ちょっと前から付き合ってっから」
夕飯の席で、皆が着席するなり想が言って。
結葉も彼の横で頬を染めて小さく首肯した。
結葉が偉央と離婚して半年余り。
夜、想と二人で『みしょう動物病院』付近までドライブに行って、三週間ちょっとが経っていた。
「えっ⁉︎ ホントにっ⁉︎ 二人ともずっとやり取りに変化がなかったし、あたし、てっきりお兄ちゃんと結葉ちゃん、幼馴染みのまんまズルズル行くのかなぁ?とか意気消沈だったのよ⁉︎」
途端、芹が二人の方へ身を乗り出すようにして興奮気味、どこか悲鳴に似た声でまくし立てて。
公宣と純子もうんうん、と頷く。
「ゆいちゃんが旦那さんと離婚したらすぐにそうなるものだとばかり思ってたのに何にも進展しないから。みんな口には出さないけど結構ヤキモキしてたのよ? 想ったらちっとも動こうとしないし! どれだけ焦ったく思ってたか。――ねぇ〜? 貴方」
「そうそう。結葉ちゃんには気持ちの整理がいるにしても……ホントうちの想がなぁ。あんまりにもモタモタしてるからいい加減尻でも叩いてやろうかと思ってたくらいだ」
純子の言葉を引き継ぐように公宣が苦笑して。
想が不機嫌そうに「みんなせっかち過ぎんだろ。ものには順序ってもんがあんだよ」と舌打ちをした。
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