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目を閉じて、チュッと掠めるような口づけを想の唇に落とすと、にわかに恥ずかしさに苛まれて、照れまくってしまった。
それを隠したくて、結葉はすぐ眼前の想の胸元にギュッとしがみつく。
そうしていないと、きっと情けないほどに熱を帯びた照れまくりの顔を想に見られてしまうから。
「結葉」
だけど想は結葉が見せたくない顔を、どうしても暴きたいらしい。
力一杯しがみついた結葉の頭を優しく撫でると、「――なぁ結葉、頼むから顔を見せて?」と低めた声で優しく懇願してくるのだ。
「や、ヤダ……。絶対恥ずかしい顔してるもん」
イヤイヤするみたいに首を振ったら、想の胸元に顔をスリスリして甘えている感じになって、何だか余計に照れのドツボにハマってしまった結葉だ。
想はそんな結葉をギューッと抱きしめて腕の中に閉じ込めた。
「ヤバイ、結葉。俺、さすがにもう我慢できそうにねぇわ。――無茶苦茶勝手なん承知で言うな? ……俺、お前のこと、すげぇ抱きたい。優しくするって誓うから……。お願い、俺にお前の全てを奪わせて?」
想が心情を吐露するみたいに嘆願してくるから。
結葉は想にしがみついたまま、「うん、いい、よ? 私も……想ちゃんと……したい……です。全部、もらって……下さい」とくぐもった声で答えた。
――長い間、待たせてごめんね。私の気持ちが追いつくのを待っていてくれて有難う、と思いながら。
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