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結葉はいよいよなんだ、と薄く唇の合わせを綻ばせて密かに期待する。
そんな結葉の頬を、想が愛し気にスリリ……と撫でて。
そのままもう一度顔を近付けてくると、あごをすくい上げるようにしてやんわりと唇を塞いできた。
「んんっ」
想の熱い舌が、結葉の唇をなだめるみたいに撫でながら、ゆっくりと口中に分け入ってくる。
結葉の様子を探るようにそっと歯列をなぞるヌルリとした感触に、結葉が堪らず吐息を落としたら、そのタイミングで想が結葉の舌を捉えてきた。
「あ、……ふっ」
想に舌を絡め取られ、寄り添うように擦り合わされるたび、粘膜が溶け合うみたいな甘い痺れが全身を駆け抜けて――。
無意識に甘い声が漏れ出てしまった。
それを恥ずかしいと思う暇もないぐらいに、想が穏やかに結葉を追い上げる。
「結葉、……お前、やばいくらい色っぽい」
想から与えられる刺激全てに反応して、うっとりと瞳を潤ませる結葉を見つめると、唇を解いた想が結葉の髪の毛を耳に掛けるように撫でて。
剥き出しになった耳朶を食んできた。
「ひゃぁ、んっ」
鼓膜にクチュッと濡れた音が響いて、結葉はゾクリと身体を震わせずにはいられない。
「結葉の耳、小さくて可愛いよな」
耳元で想がそんなことを言うから。
結葉は「やんっ」と首をすくませて縮こまった。
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