39.余計なことは考えなくていい*

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「耳だけじゃねぇ。手も、足も、唇も……何もかもが俺よりちっこくて本当可愛い」  手を握られて、じっと見つめられながら指先にチュッとキスを落とされ、舌を這わされた結葉(ゆいは)は、真っ赤になってギュッと手指を握り締めた。  なのに(そう)はグッと固めた結葉の(こぶし)にも惜しみなくキスの嵐を降らせてくるのだ。 「やんっ、想ちゃ、それ、何か恥ずかしいっ」  目の前で手にキスされているだけなのに、慣れないからだろうか。何故かそんなことすらすごくすごく恥ずかしくて堪らない結葉だ。 「なぁ結葉。もっともっと恥ずかしがれよ。――俺、お前が照れて目元を(うる)ませるの見んの、すげぇ好き。めちゃくちゃそそられるわ」  想がクスッと笑って、結葉の手をひとまとめにして片手でシーツに縫い付けると、真っ正面からじっと見下ろしてくる。 「想ちゃん、優しくするって()った……」  ソワソワと想の視線から逃れるように顔を背けてつぶやいたら、「十分優しくしてるだろ?」と、剥き出しになった首筋に舌を這わされる。 「や、あぁっ」  途端、今まで感じたことのない快感が背筋を突き抜けて、結葉はビクッと身体を震わせた。 「……結葉の良いトコ、ひとつ見っけ」  途端ククッと楽しげに笑う声が聞こえて、執拗にそこを責め立てられた結葉は、縫い止められた手にギュッと力を込める。
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