734人が本棚に入れています
本棚に追加
*
「結葉、俺もお前のことが大好きだ。……お前、色々あったばっかだし、今はまだ余り考えらんねぇかも知れねぇけど、俺、結婚するなら結葉しか居ねぇって思ってっから」
それこそ、子供の頃からずっと――。
束ねていた手を離して結葉の耳元、吐息を吹き込むみたい密やかに「愛してる」と囁いたら、結葉がゆるゆると手を伸ばしてきてそっと想の頬を撫でた。
「想ちゃ、ありがと……。私、すっごく……幸せ」
今にも泣きそうな顔をしてにっこり微笑む結葉が愛しくて、想はもう一度結葉に口づけをして。
「続き、していいか?」
コクッと頷く結葉を見て、「手際悪くてごめん。ゴム取るからちょっと待っててな?」と、汗で額に張り付いた結葉の髪の毛を手櫛で避けながら声をかける。
そうしながら、想が(こんなことになると分かってりゃあ、最初から箱ごと手近なトコに置いといたんだがな)と思ったのは仕方あるまい。
避妊具は、結葉に明け渡したベッドの宮棚に忍ばせてあったから。
想はゴムを取るついで。
結葉に触れて興奮した余韻で暑くなった身体から潔く上を脱ぎ捨てて、結葉から離れようとして。
最初のコメントを投稿しよう!