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「想ちゃ……。私、ゆくゆくは想ちゃんと、……ちゃんとした家族になりたいの。だから」
結葉に引き留めるように手を握られて、懇願するような眼差しで見上げられて、思わず動きを止めた。
そうして、見下ろした先。結葉の妖艶さを孕んだ危うさに、思わず息を呑んでしまう。
「結、葉……?」
「このままじゃ、……ダメ?」
想は結葉の言葉の意味がすぐには理解できなくて、無意識に「え……?」と小さくつぶやいて。
幼馴染みの、今まで見たことがないくらいに真剣な眼差しに、彼女の真意を理解した。
「結葉、お前……それ、本気で言ってんのか?」
もちろん、想は幼い頃からずっと。それこそ結葉が御庄偉央と結婚したと知った後でさえ――結葉と一緒になれたらと恋焦がれてきた。
結葉が離婚した今、その思いが身のうちで更に燃え上がっているのは言うまでもない。
だけど、結葉はどうだろう?
現状に流されているだけということはないだろうか。
「……もしこの一回で子供でも出来たりしたら……お前、後には引けなくなるんだぞ?」
想としては結葉との間に子供が出来たらと考えたら、嬉しい気持ち以外何もない。
結葉と結婚して子供に恵まれて……。それこそ両親のようなおしどり夫婦になっていけたら最高だと思っている。
だけど――。
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