39.余計なことは考えなくていい*

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「……私、愛する人からちゃんと愛されて、みたいの」  言葉を選びながら一生懸命言い募ってくる結葉(ゆいは)の心中を(おもんばか)ると、(そう)は居た堪れない気持ちになる。  何故偉央(いお)が結葉に対してそういう気持ちになれなかったのかは、想には分からない。  分からないけれど――。 「ごめんなさい。……想ちゃんも……私とは赤ちゃん欲しくないって……思ったり、してる、の……かな?」 「バカ! んなワケねぇだろ!」  結葉の誘いに即座に返答出来なかった想に、にわかに不安そうな顔をして結葉が言って。  そんな結葉に対して、絶対にそれだけはない!と断言出来ると思った想だ。  いや(むし)ろ――。  雄としての本能が、『愛する女に自分の子を(はら)んでもいいと言われるとか、男冥利(おとこみょうり)に尽きんだろ!』と下腹部が痛いくらいに存在を誇示しているくらいだ。 「お前の望み通りこのまま抱いてやるよ、結葉。けど――」  想の言葉に、結葉が泣きながら(うなず)いた。
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