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「……私、愛する人からちゃんと愛されて、みたいの」
言葉を選びながら一生懸命言い募ってくる結葉の心中を慮ると、想は居た堪れない気持ちになる。
何故偉央が結葉に対してのみそういう気持ちになれなかったのかは、想には分からない。
分からないけれど――。
「ごめんなさい。……想ちゃんも……私とは赤ちゃん欲しくないって……思ったり、してる、の……かな?」
「バカ! んなワケねぇだろ!」
結葉の誘いに即座に返答出来なかった想に、にわかに不安そうな顔をして結葉が言って。
そんな結葉に対して、絶対にそれだけはない!と断言出来ると思った想だ。
いや寧ろ――。
雄としての本能が、『愛する女に自分の子を孕んでもいいと言われるとか、男冥利に尽きんだろ!』と下腹部が痛いくらいに存在を誇示しているくらいだ。
「お前の望み通りこのまま抱いてやるよ、結葉。けど――」
想の言葉に、結葉が泣きながら頷いた。
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