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「――結葉っ」
想が切なくつぶやいて、結葉を抱き締める腕にギュッと力を込める。
これ以上ないと言うほどに二人の身体がピッタリと密着して、結葉は全身がぶわりと燃え上がるような熱に包まれた。
「そぉ、ちゃ、……んっ」
その瞬間、結葉は自分の中に受け入れた想のものが、ビクビクと脈打つ感覚を覚えて。
じんわりと、熱い液体が最奥に向けて迸るのを感じた。
ラテックス越しの行為でも相手が達くのはもちろん分かる。
自分を揺する男性の動きが早くなるし、吐息だって荒くなる。
中で脈打つのも感じられるし、何より達したあとは、受け入れたソレの質量が圧倒的に変化するから。
でも、こんな風に何かが自分の中に放出されるのは、味わったことがなかった結葉だ。
(想ちゃん、イッちゃった……?)
偉央との行為の時は、ただひたすらにまだ終わらないのかと――。辛いから早く終わって欲しいなどと願っていたその瞬間が。
ただ優しく気遣うように抱かれるだけで、こんなにも切なくて惜しいと思えるものに変わるんだと、結葉は生まれて初めて知った。
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