40.それぞれの未来

13/33
前へ
/848ページ
次へ
*** 「――結葉(ゆいは)っ」  (そう)が切なくつぶやいて、結葉を抱き締める腕にギュッと力を込める。  これ以上ないと言うほどに二人の身体がピッタリと密着して、結葉は全身がぶわりと燃え上がるような熱に包まれた。 「そぉ、ちゃ、……んっ」  その瞬間、結葉は自分の中に受け入れた想のものが、ビクビクと脈打つ感覚を覚えて。  じんわりと、熱い液体が最奥に向けて(ほとばし)るのを感じた。  ラテックス越しの行為でも相手が()くのはもちろん分かる。  自分を揺する男性の動きが早くなるし、吐息だって荒くなる。  中で脈打つのも感じられるし、何より達したあとは、受け入れたソレの質量が圧倒的に変化するから。  でも、こんな風に何かが自分の中に放出されるのは、味わったことがなかった結葉だ。 (想ちゃん、イッちゃった……?)  偉央(いお)との行為の時は、ただひたすらにまだ終わらないのかと――。辛いから早く終わって欲しいなどと願っていたその瞬間が。  ただ優しく気遣うように抱かれるだけで、こんなにも切なくて惜しいと思えるものに変わるんだと、結葉は生まれて初めて知った。
/848ページ

最初のコメントを投稿しよう!

734人が本棚に入れています
本棚に追加