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偉央に抱かれた後も身体がボロボロになって起き上がれなくなったことはしょっちゅうあったけれど、今のこれはそれとは違って、幾度も幾度も昇り詰めたことからくる、ちょっぴり恥ずかしい――でもすごく幸せな疲労感で。
決して嫌な気怠さではなかった。
「ごめ、……ね、想ちゃ。私、すごく……眠……」
想に返事をしなければと思うのに、上手く喋れないばかりか、まぶたがトロリと落ちてきてしまう。
「そのままはさすがに目ぇさめた時、後悔すると思うぞ?」
汗で額や頬、首筋に張り付いた結葉の長い黒髪を丁寧に手櫛で梳きながら、想が耳元で話しかけてくる。
「……ん。……分かっ……てる」
けれど、どうしても眠りの淵から抜け出せない結葉だ。
半ば条件反射のように微睡みの中で生返事をした結葉の耳を、想が何の前触れもなくパクリと咥えてきて。
「ひゃっ、ぁっ!」
そのままチューチューと音を立てて耳朶を吸うから、くすぐったさに結葉はビクビクと身体を震わせて、やっと目を開けた。
「目、覚めたか?」
途端想にクスクスと笑われて、結葉はぷぅっと小さめに頬を膨らませた。
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