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やっぱり結葉は〝お母さん〟になりたいという思いが捨てられなかっただろうし、きっとどんな形にせよ、ゆくゆくは偉央との関係は破綻してしまっていたんだと思う。
何より偉央の愛し方は結葉には重すぎたから。
***
「あのね、想ちゃん。……こんな事言ったら甘いって叱られちゃうかも知れないんだけど………」
「んー?」
湯船の中。
身体を洗い流している最中、結葉が今にも眠ってしまいそうに見えたから、てっきり湯船に浸かったら船を漕ぎ出すかも知れないと思って。
溺れないよう結葉の身体を自分の方へ抱き寄せていた想だったけれど。
結葉は逆に目が覚めてしまったみたいで、期待に反して後方にいる想に、必要以上に身体を預けてはこなかった。
想が結葉の細い腰を後ろから抱き締めながら、(もっとくっ付いてくればいいのに)と思っていたら、不意に腕の中の結葉がしどろもどろと言った様子で切り出した。
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