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「まぁお前はそう言う女だよな」
言いながら結葉を抱く腕に力を込めたら、結葉が慌てたように身体に力を入れて、一生懸命想との間に距離を保とうとする。
そうしながら、「あの、……呆れちゃった?」と恐る恐る付け加えてくるのが何だかすごく律儀で。堪らなく愛しく思えた想だ。
「いーや、全然。寧ろいっそ清々しいくらいお前らしくて良いと思った」
耳朶を食むくらいに近く、結葉の耳に唇を寄せてそう言ったら結葉が恥ずかしそうに縮こまる。
痣になるほどの酷い怪我を負わされたり、一人にされるのを怯えてしまうようになるまでの恐怖心を植え付けられたにも関わらず、結葉が偉央を訴えたいと一度も言わなかった事から、想は何となく彼女のそういう本心を察していた。
結葉は幼い頃からほわんと温かい子で、一度関わりを持った人間を心の底から恨んだり出来ないところがあったから。
それが危なっかしくてもどかしく感じることもあるけれど、想はそういう結葉だからこそ守りたいと思ってきたし、好きで好きで堪らないと感じてしまうのだ。
「俺、お前のそう言うトコ、結構好きだぜ?」
言って、すぐ目の前の結葉を振り向かせると、やんわりと唇を塞ぐ。
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