40.それぞれの未来

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***  朝まで何度も何度も(そう)に愛されたあの日――。  疲れて寝落ちしてしまった結葉(ゆいは)が回復するのを待ってくれていた想に(うなが)されて、アメリカにいる両親に想と結婚したい旨を電話で報告した結葉だったけれど。 「うちの親にだけ対面でっちゅーのは何か違う気がするんだよな」  結葉の両親への国際電話のあと、想の実家に出向いて、山波(やまなみ)夫妻にも同じ様に告げた後で想がポツンとつぶやいて。 「――だったら婚前旅行がてら、有給取って二人でゆいちゃんのご両親に会いに行けばいいじゃない!」  ――ちょっと隣町までお使いに行ってらっしゃいな?  そんな軽い調子で純子が言って。  公宣(きみのぶ)からも「おう! そうして来い」と背中を押されてしまった。 「行っても……いいのか?」  想がすぐさま乗り気になって。  純子と公宣が「当然」と(うなず)くから。  あれよあれよと言う内に渡米ありきな雰囲気になった。  両親の海外赴任が決まった際に、もしもに備えてパスポートを取っていた結葉だ。  でも、一度も使ったことのなかったパスポートを開いてみると、名前が「MISHOU(みしょう) YUIHA(ゆいは)」になっていることに気が付いた。  離婚で旧姓(小林)に戻っているので、そのままというわけにはいかない。
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