40.それぞれの未来

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 結局両親には偉央(いお)からのDVのことは伝えられていないままだった結葉(ゆいは)は、足首の(あざ)が見えないよう服装には細心の注意を払ったのだけれど。  親である茂雄(しげお)美鳥(みどり)も、何となく思うところがあったのかも知れない。  ただ単に(そう)を気遣ってのことかもしれないけれど、結葉と二人きりになっても尚、偉央との離婚について、多くは聞いてこなかった。  それを有り難く思うと同時に、心苦しくも感じてしまった結葉だ。  両親には、子供を授かることに対する考え方の不一致が原因での離婚だと話してあったけれど、偉央の方に再婚相手との間に子供が出来ていることは、きっと遅かれ早かれ二人にも伝わるだろうな、と思って。  想と茂雄(しげお)がリビングで何やら話し込んでいるのを横目に、美鳥(みどり)とキッチンに立ってお茶の支度をしていた結葉は、思わず手を止めてそんなあれやこれやな考え事に(ふけ)ってしまう。  と、不意に横合いから美鳥(みどり)にギュッと手を握られて。
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