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「ゆいちゃん、過ぎたことは余り振り返らないのよ? 一度はこの人となら、って思って一緒になった人と離婚したんだもん。こうなるまでにはきっと、お母さん達には想像も付かないくらい大変なことが沢山あったんだと思う。その時にお父さんもお母さんもゆいちゃんのそばにいてあげられなくて本当に申し訳なかったと思ってるし、実はそれがずっと引っ掛かってたの……」
「お母さん、そんな……」
両親は結葉が偉央から逃げ出した時、アメリカにいたのだ。
そばにいてもらうことなんて物理的に不可能だったのだから、結葉はそれを恨んだことなんて一度もない。
寧ろ両親が日本にいる間に、偉央との結婚生活で抱えていた様々な問題を、その片鱗ですら二人に話すことが出来なかった自分にこそ非があったと思っているのに。
「ゆいちゃんは優しい子だもんね。私たちのこと、一欠片も恨んでないんだろうなって言うのもちゃんと分かってるつもり。……けどね、罪悪感くらいは私たちにも背負わせて? ゆいちゃんを偉央くんと無理矢理引き合わせたのはお父さんとお母さんだもの。ゆいちゃんに辛い結婚生活を強いたこと、本当に申し訳なく思ってる」
その言葉を聞いて、美鳥が偉央との離婚の本当の理由についてある程度察している気がした結葉だ。
そのせいだろうか。
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