40.それぞれの未来

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***  結婚報告から帰国してすぐ、婚姻届を役所に提出した(そう)結葉(ゆいは)だ。  結葉がキッチンで美鳥(みどり)と話している間に、想は茂雄(しげお)から婚姻届の証人欄にサインをもらっていた。  想が茂雄の前に差し出した婚姻届の証人欄は、既に一方が想の父・山波(やまなみ)公宣(きみのぶ)の署名・捺印で埋まっていたらしい。  お茶を出した際に書類を見せられた美鳥(みどり)が、想の用意周到さに感心していたのを思い出す。  一方結葉は、想が結葉と子供が出来ても不思議ではない行為をしたことを結葉以上に気にしていて、少しでも早く籍を入れたがっているのを知っていたから。  凄く想ちゃんらしいなと思った。  お互いの両親からのゴーサインを受けて、結葉は束の間戻った旧姓――小林――から、晴れて子供の頃から夢にまで見た想の妻〝山波(やまなみ)結葉〟になった。 ***  式は、入籍後すぐに頼んでおいた結婚指輪が出来上がるのを待って、山波家(やまなみけ)の面々とともに結葉(ゆいは)の両親がいるニューヨークを来訪する形で、海外挙式にさせてもらった(そう)結葉(ゆいは)だ。  海外での式が決まった時、結葉は(せり)と相談して、ハムスター達を皆、同じペットホテルに預けることにしたのだけれど。
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