41. Epilogue

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 丁寧にしっかりと頭を下げて気持ちを伝えたら、不意に貧血が起きたみたいにクラリとしてよろめいて、びっくりする。 「おっと……」  (そう)に支えられて、無意識に彼にもたれかかったら、「大丈夫か?」と思い切り心配されてしまった。  旅行疲れだろうか。  今日は朝から――というよりこの所ずっと――何だか少し身体がだるくてしんどい結葉(ゆいは)だ。 「――うん、疲れが出ちゃったのかな。ここ最近ずっと……ちょっぴりだるくて」  ――私もアラサーだし若くないね。  クスクス笑いながらそう付け加えたら、即座に想から「バカ。しんどいの、笑って誤魔化そうとすんな!」と思い切り睨まれてしまった。  「それに、年齢から言えば俺の方が上だぞ?」と鼻息荒く付け足されて、それもそうかと思い直す。 「お前、何か身体熱い気がすっけど……熱はねぇのか?」  弱ってて風邪ひいたんじゃあるまいな?と眉根を寄せる想に、「どうかなぁ。測ってないから分かんない」と答えたら、すぐさま隣――山波家の方へ連れて行かれてしまった。 「うちの体温計、いま段ボールん中だろ。それ探すよりこっちで借りた方が手っ取り早い」  言われて、それもそうかと納得した結葉だったけれど、それと同時。  そんなに急いで測らなくても、と思ってしまう。 * 「あら、二人ともどうしたの? もうお引越し終わった?」
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