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「ゆいちゃんが使ってた部屋、ベッドとかそのままだから。お布団はお客様用のがセットしてあるけどちょっと身体を休めるだけなら問題ないでしょう?」
純子に言われて、ここに厄介になっていた時使わせてもらっていた部屋に押し込められてしまった結葉だ。
「お昼は店屋物頼むし、夕飯は私が作るから。ゆいちゃんはとにかく身体を休めること。良いわね?」
矢継ぎ早にまくし立てて結葉をベッドに寝かしつけた純子の後ろで、想が何も言わずに頷いて。
結葉は観念して今日は大人しくしておくことにする。
*
「ねぇ想。悪いんだけど台所から仕出し屋さんのメニュー表持ってきてくれない?」
二人に負けて、大人しく寝そべったのに、純子はまだ何か言いたいことでもあるみたいで、結葉のそばから離れようとしない。
ばかりか、想が「『味よし』の?」と問い掛けるのに「そうそう、それそれ」と頷いて、早々に息子を部屋から追い出してしまった。
「じゅ、……お義母……さん?」
今まで通り「純子さん」と呼びかけようとして、「そう言えば私、想ちゃんと結婚したんだ」と思い直した結葉は、「お義母さん」と言い直して眼前の純子を見上げた。
純子は想が階段を降りて行く足音に聞き耳を立てるような素振りをしたあと、ベッドに寝そべる結葉にグイッと近付いた。
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