34.出て来ない結葉

17/28

735人が本棚に入れています
本棚に追加
/848ページ
 偉央(いお)に、頬から首、胸から腹部、そうしてその下へと身体に沿って手を這い下ろされた結葉(ゆいは)は、全身を震わせて、ジタバタともがいた。  その動きのせいでプリーツスカートの裾がまくれて膝上(ひざうえ)辺りまで二の足がむき出しになってしまう。 「ココもしっかり濡らしてから挿入(いれ)るから」  スカートの上から秘所の辺りをそろりと撫でられた結葉(ゆいは)は、恐怖で動けなくなる。 「ぃやっ……」  涙目で偉央(いお)を見上げて、掠れたか細い声音でイヤだと意思表示をしてみたけれど、偉央(いお)にやめる気はないようで。 「まだ離婚届、出してないんだよね? だったら間に合うじゃないか。ねぇ結葉(ゆいは)、子供と僕とキミの三人でやり直そうよ。キミが僕の子供をもう無理に閉じ込めたりしないし、キミの行動にも目をつぶるって約束する。だから――」  そこで偉央(いお)にギュウッと抱きしめられた結葉(ゆいは)は、耳元で小さく「帰ってきて、お願い……」と(ささや)くように偉央(いお)が懇願する声を聴いた。
/848ページ

最初のコメントを投稿しよう!

735人が本棚に入れています
本棚に追加