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「きゃっ」
抱いて欲しいと意思表示をした途端、想に無言で横抱きに抱き上げられて、結葉はびっくりして小さく悲鳴を上げた。
「落としゃしねぇから心配すんな」
無意識。ギュッと想の首筋にしがみついたら、どこか照れた顔をして想がぶっきら棒にボソリとつぶやいて。
その顔を仰ぎ見て、結葉は距離の近さを自覚してにわかに恥ずかしくなる。
結葉の、サンリコ社のマイハーモニー柄の可愛い布団が敷かれたベッド横――床上の想の寝床にふんわりと降ろされた結葉は、覆い被さってきた想から熱のこもった目で見下ろされて。
「いくら何でもあのまま玄関先で、ってわけにゃいかねぇだろ?」
照れ隠しの言い訳みたいに付け足された想の言葉の意味をほんのちょっぴり遅れて理解した。
真っ赤になりながら懸命にコクコクと頷いた結葉は、想の布団に下ろされたことで全身が彼の匂いに包まれて、照れが急速に加速するのをなすすべもなく受け入れることしか出来なくて。
「お前の可愛い声、誰にも聴かせたくねぇんだ、察しろよ」
「こ、ぇっ⁉︎……」
そうして想が言う〝可愛い声〟が嬌声を指しているであろうことが分からないほど、結葉だって何も知らない子供じゃなかったから。
今から起こることを意識せずにはいられなくて、めちゃくちゃ恥ずかしくなって、穴があったら入りたい!と思ってしまった。
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