37人が本棚に入れています
本棚に追加
「他に話したい事があるか?」
タエは部長たちを見た。皆、何も無い、と言っている。
「業務を、遅れが無いように進めてくれ。
デザイン企画について箝口令を継続し、社外からのサーバーアクセスは禁止だ。
勤務中の外出禁止を続行してくれ」とタエ。
タエに続いてケイが言う。
「次回の会議までに人事に関して人選しておいてくれ。
次回は人事の決定と、Madam Marimura、Marie Marimura、Office Marimuraの処分だ。
各自の有意義な考えを聞かせて欲しい。
質問はあるか?」
Madam MarimuraはMarimura専属の小売り専門会社、
Marie Marimuraはデザイン企画販売を専門とする会社、
Office MarimuraはMarimura系列の会社の事務などITを統括する会社だ。
Marimuraの前社長、鞠村まりえの個人企業がMadam Marimuraで、そのデザイン企画室がMarie Marimuraだった。
「Madam MarimuraとMarie Marimuraは鞠村まりえの名義から、Marimuraの名義になって、Marimuraの販売店になっています。これをどうするのですか?」
総務部長が不思議そうにケイを見た。
「Madam MarimuraとMarie Marimuraを小売店にした理由は二つある。
一つは、店内改装に経費がかからないからだ。
二つ目は、この辺りに集る購買層のリサーチに役立ってる。
しかし、ここMarimuraの一階に小売り部がある。
近所に二店舗も必要かを考えて欲しい。
まあ、経費節約だ。経費節約はOffice Marimuraにも言える。
次回の会議は来週の今日、六月十三日、月曜、十時だ。
では、これで会議を終る」
ケイの説明に部長たちは納得して席を立った。
「ケイ、三洋テキスタイルを調査する気だべ?」
部長たちが会議室を出るとタエがケイにそう尋ねた。
「ああ、注文在庫の調査だよ。他社を知るのも悪くねえベ?」
ケイはタエを見て笑っている。この笑顔の裏にあるのは、やはり彼を探る気だ・・・。
最初のコメントを投稿しよう!