37人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
レディース事業部のアウターウエアデザイン企画室に、デザインルームは五つある。
タエの役職の一つは、レディース事業部レディースアウターウエア企画室長代理、兼、第一デザインルームのチーフデザイナー(係長)だ。
同じ歳の義姉、大沢ケイの役職の一つは総務部、総務課長代理、兼、総務チーフ(係長)だ。
勤務開始と同時に、タエは第一デザインルームのデザイナーたちに注意事項を述べた。
「社外で仕事の会話は禁止。
デザイン企画関連の資料やサンプルの持ち出しも禁止。
社外からのサーバーアクセスも禁止。
それから、勤務時の外食も禁止。食事と喫茶は社食ですること」
前社長と前チーフデザイナーによる情報漏洩があって以来、デザイン企画に関する箝口令は解除されていない。
「そしたら、生方チーフ代理。後を頼むね」
「わかりました。チーフ。じゃない、社長!」
「まだ、正式に人事異動してないんだ。
生方。仕事を覚えて、早くデザイン企画室長(課長)になれ。
今だって、このデザインルームは木村ルームじゃなくって、生方ルームなんだからね」
「はい、チーフじゃない、社長。アッハハハッ」
「笑うな。社長って柄じゃないんた。社長はデザイン企画できないから、つまんないぞ」
「社長って何をするんですか?」とメタボの中林なつみ。
「何を売ったら売上が伸びるか考えるんさ。
私はそんな事、今まで考えた事ないんだ」
タエの言葉を聞いて、デザイナーたちが大笑いしてる。
最初のコメントを投稿しよう!