二 第一デザインルーム

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「社長が他にする事は人事だ。  レディース事業部長、レディースアウターウエアデザイン企画室長の席が空いたままになってる。我こそはと思う者は各役職に挑戦して欲しい。  生方。企画室長か企画室長代理に立候補するか?  そうすれば、チーフとチーフ代理の席が空く。  みんなの昇進のチャンスが増えるぞ」 「・・・」  生方京子とデザイナーたちから返答はない。皆、デザイン企画より、管理部門が多忙なのを良く知っている。 「さて、あとはお願いね」 「はい!」  威勢の良い返事を聞きながら、タエはデザインルームを出た。 「ケイ。こっちは朝礼がすんだよ」   タエは携帯で連絡しながら、デザインルームがある五階から階段を下りて三階の総務部へ行った。  今期から、総務部は六階から、警備部がある三階へ移動している。  ケイが総務部から出てきた。  タエはケイとともにエレベーターホールーへ歩いて人事について触れる。 「レディース事業部長はキョン(生方京子)に、デザイン企画室室長はアツミ(赤井あつみ)、第一デザインルームチーフデザイナーはサユリ(大林さゆり)。  そいで、デザイナーにナツ(中林なつみ)とサチ(小林さち子)と本田兄弟を使う案はどうなったべ・・・」  タエの意見にケイが答えて、エレベーターに乗った。 「本田は保釈されて出てきたが、やっぱダメだ。あいつらの根性は変らねえべ。  人を使う事は知ってても、指示されてた事を完璧にこなすのはできねえぞ。  人に使われる教育を受けてないべさ・・・」  ケイがエレベーターの十階のボタンを押した。  二人で話す時は、実家の群馬北部の方言が気楽だが、今は、地元でも方言を使う者は年寄りだけになっている。
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