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「社長が他にする事は人事だ。
レディース事業部長、レディースアウターウエアデザイン企画室長の席が空いたままになってる。我こそはと思う者は各役職に挑戦して欲しい。
生方。企画室長か企画室長代理に立候補するか?
そうすれば、チーフとチーフ代理の席が空く。
みんなの昇進のチャンスが増えるぞ」
「・・・」
生方京子とデザイナーたちから返答はない。皆、デザイン企画より、管理部門が多忙なのを良く知っている。
「さて、あとはお願いね」
「はい!」
威勢の良い返事を聞きながら、タエはデザインルームを出た。
「ケイ。こっちは朝礼がすんだよ」
タエは携帯で連絡しながら、デザインルームがある五階から階段を下りて三階の総務部へ行った。
今期から、総務部は六階から、警備部がある三階へ移動している。
ケイが総務部から出てきた。
タエはケイとともにエレベーターホールーへ歩いて人事について触れる。
「レディース事業部長はキョン(生方京子)に、デザイン企画室室長はアツミ(赤井あつみ)、第一デザインルームチーフデザイナーはサユリ(大林さゆり)。
そいで、デザイナーにナツ(中林なつみ)とサチ(小林さち子)と本田兄弟を使う案はどうなったべ・・・」
タエの意見にケイが答えて、エレベーターに乗った。
「本田は保釈されて出てきたが、やっぱダメだ。あいつらの根性は変らねえべ。
人を使う事は知ってても、指示されてた事を完璧にこなすのはできねえぞ。
人に使われる教育を受けてないべさ・・・」
ケイがエレベーターの十階のボタンを押した。
二人で話す時は、実家の群馬北部の方言が気楽だが、今は、地元でも方言を使う者は年寄りだけになっている。
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