22高塚くんの愛の証明

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22高塚くんの愛の証明

 お付き合いが始まってからお互いに用事がない日は今までと同じように放課後のデートを重ね、ようやく休日となった今日。  待ち合わせの駅前に向かうと、すでに着いていた高塚くんが人の視線を集めて時計塔の前に立っていた。  紺のアンクルパンツと白シャツにネックレスに指輪、時計をしているだけのシンプルな出で立ちなのにオーラがでており、相変わらずの美貌で周囲がキラキラして見える。  好きを自覚してから初めての休日デートはやはり特別で、前日から服装を悩みに悩み、楽しみなのと同時にひどく緊張した。結局選んだのは、ふんわりとしたシフォン素材のプリーツスカートと白のカットソー。  短いスカートは気合が入りすぎかなとか、タンクトップも肌が見えすぎかなとか、カジュアルすぎてもとかいろいろ悩んだ末、初デート服っぽいと自分で納得して家を出たのだが、高塚くんの前だとどれも霞む気がしてちょっと気後れしてしまう。  莉乃が二の足を踏んでいると、すぐに莉乃に気づいた高塚くんが笑顔を浮かべた。 「りの!!」 「……千歳くん、待った?」  嬉しそうにこちらに寄ってくる高塚くんの姿に、莉乃も自然と笑みが漏れる。  先ほどまでは近寄るなオーラを出していたのに、莉乃の顔を見た瞬間相好を崩され、莉乃の些細な不安はあっさりと飛んでいった。  莉乃を捉えようとする力強い眼差しに、好きだと隠さないその顔を直視できずに誤魔化すように前髪を触る。
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