ーー数年後
困った……
俺の足取りは重かった。それは人生に思い悩んでいたからに他ならず、我が能力ではほとほと解決しようもない問題を背負い込み、頭を抱えていたのだった。
この悩みは俺の国の賢王でも、山奥で金銀財宝を守り貫くドラゴンでも、かつて闇を払った勇者や英雄でも、果ては全知全能の神様でも解決できないだろう。それほど、厄介な悩みを俺は抱えているのだ。
当然、ただの王都の民でしかない俺にそんな悩みを解決できるはずなく、足枷のついたような足取りで帰路を歩いていた。
石畳をトボトボ蹴りながら、夕闇に沈む空に俺はため息を放つ。
「もし、そこの人、あなた悩みを抱えていますね」
人の声がした。振り向くと、そこにはいつかと同じく占い師がいた。俺は見事、俺に悩みがあることを言い当てた占い師にすがるように近づいた。
俺は占い師に占いを依頼した。すると、占い師は目を細めて、「あなた、悩みを抱えていますね、それも非常に大きな」その通りだ。
「あなたの悩みはズバリ、奥方の誕生日に何を渡せば良いか悩んでいるのですね」
「そうなんです、最近、やっと独立して自分の店を開けたんですよ。それまで、嫁さんにはたくさん苦労をかけたので、何かすごく良いものをプレゼントしたいんですけど、良いものが思いつかないんです」
「では、これを渡してみてはどうでしょう?」
そう言って、黒いローブからピンク色にも黄金にも輝くチューリップを取り出した。
「それは……幻のチューリップ」
「そう、あなたが昔、取りに来たチューリップです。あなたに差し上げますよ」
俺はチューリップを受け取った、そのチューリップはほのかに温かった。
「では、今日は店じまいですねぇ」
そう言って、水晶やタロットをしまう占い師に訊いた。
「なぜ、そんなに俺に優しくするんですか?」
「ハハ、お父さんによろしく言ってください」
そう言って、占い師は気がついたらいなくなっていた。空には夜闇に紛れる三十メートルほどの黒いドラゴンが飛んでいた。
俺は不思議な気持ちになりながら、吸い込まれそうなチューリップを眺めて歩いた。そして、
俺は明るい家に帰ってきた。
「ただいま、ガブリエラ」
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