第二章 12歳も上にほだされてたまるか

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「そういや例の見晴台から見えるよね、その場所」 にこにこと横山君が突っ込んできて、私は恨めしそうに見る。 もう何もかも気付かれてしまった。 「大丈夫、約束は守るって。だけど一人で抱え込んだら駄目だよ」 「うん、ありがとう。話聞いて貰ったら楽になった」 「それは良かった」 元々友達の愚痴に付き合うことや相談を持ちかけられる方が多く、話を寄り添うように聞いてくれた異性は横山君が初めてだった。 同じ年齢の男子なのに妙に達観したような性格なのはきっと理由があるのだろう。 だけれどそれを聞くのはいけない気がして聞いていない。 「ほら、もう遅い、帰ろう」 確かにもう外は暗い。彼に促され、私は彼と一緒に学校を出た。 その夜。 『恋人がいるのに他の男と帰るのはどうなのか』 というメールが届いた。もちろん送ってきたのは光生さんだ。 怖い、なんで知っているの。 というか本気で毎日やりとりする気か。 『ストーカー』 とだけ返信するとまたすぐに、 『交際相手に他の男がいることが問題だろう』 との返信に、この人ほんとどこまで本気で言っているのだろう。 12歳離れてるんだぞ、自覚はあるのだろうか。どうせメールで弄る口実だろうが不愉快だ。
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