第二章 12歳も上にほだされてたまるか

10/50
406人が本棚に入れています
本棚に追加
/280ページ
向こうのオモチャにされてこちらが疲弊するなどおかしな話だ。 ネクタイの弁償で脅されて怯みそうになったけれど、こちらがお芝居してやったほうが遙に恩としてはでかい。 あの洋服等々もその為のコスプレ代なのだから、私がそれを気にする必要は無いはず。 すっきりした気持ちで、ちょうど部屋に眠りにきた妹に気付かれることも無く眠りにつけた。 数日、何事も無く過ごしていてすっかりあの人のことなど忘れかけていた。 元々あれは数日だけの出来事、この高校生活の方が私のメイン。 友達と校門を出ようとしたとき、黒いスーツを着た年配の男性が私に近づいてきた。 「お待ちしていました」 この人、前回迎えに来た光生さんの秘書の春日部さんだ! じり、と後退して逃げようとしたら一緒にいた友人達が声をかけてきた。 「知り合い?」 「あー、なんというか」 「光生様が首を長くしてお待ちです」 「これから塾なので」 「本日塾が無いことは把握済みですし、ご両親にもこの後お連れすることは了承を得ています」 おい!うちの親!! ふるふると身体が怒りとか周囲からの視線の恥ずかしさとかで震えてくる。 だけれどもう関わりの無いこと。 ここできっぱりと言わなければ。
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!