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「そうか、ニヤついているか」
「はい。女子高生相手にニヤニヤしてるとか通報案件ですね」
「子供が美味そうに食べているのを微笑ましく見ていて何が悪い」
「相手が子供だという認識はありましたか。
では逮捕後18歳未満だとは知らなかったという弁明は通じませんので」
「それは淫行条例だろ。単に食べ物与えているだけだろうが」
「無理矢理連れてきて無理矢理服着せておいてどの口が」
「制服姿ではここに連れてこられないから仕方なくだ」
「じゃぁそもそも連れ込まないで下さい」
「お前、ほんと打てば響くな」
「サラダ、進んでないですよ、野菜食べられない子供なんですか?」
そんな嫌みを言ってもははっ、と軽い笑い声が上がった。
わからない、この人何考えているのだろう。
魚料理が来て、少し焦げ目がついたところから良い香りが広がる。
焼いているのに白身はふっくら。
きっと光生さんは美味いもの食べ慣れているな。
「美味いもの食うのは好きか?」
「普通そうじゃないですか?」
これも美味しいなぁと思いながら光生さんを見れば、今度は白ワインを飲みながら窓の外を見ている。
既に外は真っ暗だが、ここはビルの高層階。
近くにあるビル群がイルミネーションのように美しい。
その灯りが綺麗な彼の横顔を照らしているが、楽しげに見ているようではなくそもそも外の景色を見ているのかわからないような瞳に見えた。
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