16人が本棚に入れています
本棚に追加
そのいつかっていつだ?と、だけどどうせまた上手くいかないに決まってる、と、勝手な不安と期待に揺すぶられ続けてきたけど。
たぶん、もう、潮時だ。
ずっと、ずっと近くで見守っていられればいいと思っていたけど。
この平和を、全力で守りたいと思っていたけど。
もう、限界だ……
「ねぇ相川」
なるべく静かに聞こえるように、そっと注意深く口を開いた。
「ん?」
「振られた直後に悪いんだけど」
逸って上滑りする事のないように。
「なによ」
「お前、今、好きな奴いる?」
焦って怯えさす事のないように。
「だから今日、振られたばっかだって」
「じゃぁ、考えてみてくれないかな」
「何……」
「俺のこと、対象内にしてくんないかな」
川沿いに植わった桜がざぁっと鳴って、夕方の風が吹きぬける。
薄暗くなりかけた空にまだ星はなくても、今、相川が、目を丸くして固まるのが分かった。
「相川は可愛いよ。俺、ずっと、そう思ってたんだ」
ゆっくり静かに言葉に乗せる。
ありのまま正しく伝わるように。
最初のコメントを投稿しよう!