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—— あーあ……情けな……
揺らがないはずの決意など、こんなに簡単に壊れてしまうなんて。
目を閉じたまま薄暮の中で、俺は俺の不甲斐なさを知る。
だけどもう。
引き寄せてしまった存在は放せない。
何があっても。
もし、君が。そして俺が。
この先手ひどく傷ついたとしても。
—— ごめんな相川……
身を切るような鮮やかな懐古を塗り替えるように沸きあがったのは、後悔と呼ぶには甘美な、罪悪感というには柔らかな。
そんな、ぬるく渦巻く圧倒的な感情。
その中に、奔流に飲み込まれるように身をゆだねながら。
いま、初めて、共鳴した二人の鼓動が、やけに響くのを。
慈しむようにそっと数えていた。
side田島 Fin
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