2 Fin

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変わらない距離で、右斜め前にある狩野君の背中。 すぐ右横をスピードを上げた車が追い抜いていって、初めて狩野君がちょっとだけ振り向いた。 危なくないよう庇われていたということに、そのときやっと気が付いた。それから、さっきからの一連の言動も全て。   ずっと、必要以上に傷つくことのないように、庇っていてくれたんだと気が付いた。 この人は優しいんだ。なんだか油断ならないけど、何考えてんだかわからないけど。 でも優しいんだ。すごく。 前を行く背中は無言のままで、まっすぐ風を切ってどんどん行ってしまうけど。 とりあえず今は、ついて行こう。 狩野君が向けてくれたさりげない優しさに、応えなければ。 せめて。 止まることなく。 振り返ることなく。 夕焼けに染まる道を駅の方に向けて走る。すっかり下校が遅くなったせいで、見知った顔はさっぱりいなかった。遅れないように狩野君の後を追う。  狩野君は、振り向かない。  どこまで行くとかどんな店だとかも、まるで説明してはくれないけれど。  この人がつれてってくれるお好み焼きは、きっと美味しいのだろうな、と。  なんとなく、平かな気持ちで考えていた。 side桜井  Fin
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