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「やっぱりそうかな」 彼女が瞬きを繰り返す。 「やっぱ俺、偽善者かな」 むっとしたように、瞬きをとめてじっと見返してくる。 「そうだよ」 「だよな。俺もそうなんじゃないかと思ってた」 「なんだ、自覚あったの?」 「まぁそれなりに。でも、バレるとは思わなかったな」 「凄い自信」 「そうかな。桜井は、頭がいいね」 「なに?いきなり」 「よく分かったね。どうして分かった?」 強気な態度はかろうじてそのままに、彼女が言葉を失う。 「桜井は俺のこと、よく知ってんだね」 追い討ちをかけて追い詰める。 「俺のこと気になる?」 顔が赤くなるよりも先に唇が小さく震え、思い出したようにふっとのけぞる。 そして、今度こそ立ち止まることなく逃げていってしまうのを、呼び止めもせずに見送った。 —— これじゃあ偽善者どころじゃないな ただの悪者だ、完璧に 分かっただろう?桜井 だからもう、俺なんか見るな お前はずっと、綺麗なままで 綺麗なものだけ見ていればいいんだ
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