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もしいつか桜井に好きだといわれたら、なんと言ってかわそう、とか、実はそんなことを考えている。
なるべく傷付けたくないなんて、傲慢なことまで願ってる。
ああだから、やっぱり言わせてはだめだ。
桜井にはそんなこと、言わせたらだめだ。
その前に、もしかしたらやっぱり俺は、部を辞めなくちゃならないだろうか?
もっと脅さなくっちゃダメかな……偽善者じゃなくって、最低、とか言われるくらい
なんてな、ほんと最低だなー、俺……
桜井は何一つ悪くないのに。
片膝を立てて、きつく抱え込む。
コートから見上げる空が不必要に広すぎて、遠すぎて、蹲るように下を向いた。
もしも相川に、好きだと言われるためなら、なんだってするのに。
ずっと近くにいるためにはどうしたらいいのだろう。
ずっと、一番近くにいるためには。
どうしても手に入らないのなら、永遠と見守っていこうと決めていたその決意は、確かなものだったけれど、でも。
いつまでもつのか、最近時々不安になる。
相川があんまり綺麗に走って、その姿が、焼きついてずっと離れないからだ。
「なぁ狩野。お前、桜井と付き合ってよ」
「なんだそれ」
「狩野だったら、いいと思うんだ。槙野ほど純粋じゃないけど」
「何で俺が、お前の安心のために付き合わなくっちゃならないんだよ」
「彼女がいるといないとでは雲泥の差なんだろ?」
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